2023.07.01
こんにちは!
ワダハウジングの纐纈です。
夏は涼しく、冬は暖かい家にしたい!
住み心地もよくしたい!
誰もがこのようなご要望を持ってると思います。
モチロンお金をいくらでも掛ければ、断熱性能を上げる事が出来て夏涼しく、冬暖かい家になります。
しかし、お金をいくらでも使える方というのは、そうそういませんよね。
どうせなら一番効果があり、値段もなるべく安い方がいいですね。
目次
「家の断熱性能を上げるなら断熱材の厚みを増したり、性能の良い断熱材にすればいいんでしょ?」
間違ってはいないのですが、断熱材で家の性能を上げるのは意外と難しいです。
それには理由があります。
昨今の家はどの会社でもある程度の断熱材を使用しています。
どこの断熱材メーカーも性能向上に努めており、10年前とは比べ物にならないくらい進化しています。
そんな事から、断熱性能を上げるには施工の手間を増やして、材料を二重三重と重ねて沢山使う事で断熱性能をあげるしか方法がありません。
当然、材料費がかかるのでお金が沢山いります。
では、断熱材以外で家の断熱性能を上げるにはどうすればいいか?
答えは『窓』です。
窓は、壁の1/8~1/10ぐらいの断熱性能しかありません。
なので、エアコンなどの冷暖房機器で冷やしたり、暖めたりした空気が窓からどんどん逃げていってしまいます。
冬の暖房時に窓から逃げる熱は、58%。
夏では、73%の熱が窓から入ってくると言われています。
ちなみに、壁からの場合は夏7%で冬は15%です。
それだけ、窓は家の断熱性能の弱点となる場所です。
窓は、アルミ、樹脂、木などで出来上がっており、どれを選ぶかによって性能の差がとても大きくなります。
窓の性能だけで、家の断熱性能に2~3倍差がつく事もあります。
家の断熱性能を上げる方法には窓を無くしたり、窓を極力小さくする事で性能を上げる会社があります。
しかし、窓の無い家は昼間でも暗く、5月や11月の気持ちの良い風が入らない圧迫感がある家になってしまいます。
窓は光や風を取り込む役割があるので、住み心地に大きく影響します。
断熱性能を確保しつつ、効果的な窓の形と配置を考える必要があります。
風の流れ、立地、日当たりなどを考慮して窓の形や窓の位置を決める。
とても難しい事ですが、これを考慮しておかないと家の住み心地に影響を与えてしまいます。
やみくもに大きな窓をたくさん取付をする事は、やめた方がよいです。
家の断熱性能に大きく関わってきます。
窓の性能により、家から逃げる熱を少なくしたり、入ってくる熱も少なくする事が出来ます。
又、性能の低い窓を使うと、結露が頻繁に発生する事もあります。
窓の性能で一番重要なのが
「熱貫流率」
(専門用語でU値と言います)
世界では窓のU値の最低基準を定めている国は多いです。
残念ながら日本では存在しません。
画像はテクノフォルムバウテックジャパンの資料を一部加工
上記画像は冬寒いヨーロッパ各国の窓の熱還流率(U値)の最低基準です。
数字が小さいほど性能が高いです。
では日本で一番普及している窓はどれぐらいでしょうか?
実際の新築住宅において6割が窓のU値3.49というレベルだと言われています。
これはアルミの窓枠に複層ガラス(ペアガラス)の窓です。
窓の性能は、サッシと呼ばれるガラスをとめる枠の部分とガラス部分の二つに分けられます。
画像の通りに分けられます。
ちなみに家にとめる為の部分もサッシと呼びます。
簡単に説明すると、ガラス以外の部分を全てサッシと言います。
窓の性能はサッシとガラスの組み合わせによります。
それぞれに断熱性能が効果的な組み合わせを選ぶことが重要です。
サッシの性能だけ、ガラスの性能だけでは選べないのが窓です。
窓は使われている素材によって断熱性能が決まります。
窓のサッシに使われる素材で性能が高い順番に並べると
1.木製
2.樹脂
3.アルミと樹脂の混合
4.アルミ
という順番になります。
ちなみに、アルミは樹脂や木材の1000倍以上熱を通しやすい材料です。
画像はホームズより
上記の表は熱伝導率を示した表です。
熱伝導率とは熱の伝わりやすさを示すものです。
数字が大きければ大きいほど熱を伝えやすくなります。
価格の安さと耐久性や気密性が良いので、アルミサッシが良く使われております。
しかし、アルミサッシは結露の原因になることが多いです。
家の断熱性能を表す区分で断熱等性能等級というものがありますが、アルミサッシで断熱等性能等級4以上を取得しようとすると、とても難しいです。
最近の主流は、アルミと樹脂の混合窓が多いです。
アルミと樹脂の混合窓とは、室内側に熱が伝わりにくい樹脂を使い、室外側に耐久性と気密性の良いアルミを使用したサッシです。
上記の写真が窓の断面です。
熱が伝わりやすいアルミの弱点を樹脂がカバーしています。
最低でもアルミと樹脂の複合サッシ。
金額に余裕があるなら樹脂サッシや木製サッシを選ぶことをおススメします。
画像は日本での樹脂窓普及率です。
ドイツ、アメリカは60%超え。
中国でも20%超え。
日本ではたった7%。
日本の窓の性能がいかに低いかが分かります。
日本の窓メーカーは何をしてるんだ!と思われた方もいますよね?
しかし、日本の窓メーカーも良い商品を出しています。
日本の窓の四大メーカーと呼ばれるメーカーは全社U値1.0を下回る樹脂窓を販売しています。
この他にも窓メーカーはありますが、割愛させていただきます。
ちなみに木製窓を作成しているメーカーもあります。
ちなみに先程紹介した日本の窓四大メーカーのU値1.0を下回る樹脂窓は、世界で一番窓の基準が厳しいフィンランドでも使用できます。
それでは、何故日本で普及しないのか?
つまり、ハウスメーカーや工務店に原因があります。
価格が高いから選ばない。
これに尽きます。
窓の値段を高い順に並べると
1.木製窓
2.樹脂窓
3.アルミ樹脂複合窓
4.アルミ窓
になります。
価格が安いアルミ窓が一番売れてしまうのも無理がありません。
このブログを読んでいただいた方は、決して安さで窓を選ばないようにしてください。
窓の性能を上げるには、サッシだけでなくガラスの性能も重要です。
昔は「単板ガラス」と呼ばれるガラスが1枚のものが多かったですが、現在はガラスを2枚使った複層ガラス(ペアガラス)が主流です。
そのペアガラスの効果を最大限に発揮するのが、Low-eガラスです。
Low-eガラスというのは、特殊な金属膜(酸化亜鉛と銀)をコーティングしたガラスです。
このガラスはの目的は遮熱と断熱です。
遮熱効果で西日を防いだり、断熱効果で冷気を建物内に通さない使い方をします。
簡単に言えば、熱の出入りが防げるガラスです。
Low-eガラスは必ず使用した方が良いと思います。
以前に窓メーカーの実験装置を見学に行ったことがあります。
その実験装置は、単板ガラスと複層ガラス(ペアガラス)とLow-e複層ガラスに、白熱電球をあて温度をはかる装置です。
白熱電球は、ものすごく熱くなるので素手で触れません。
単板ガラスでも、熱くてガラスに触れませんでした。
複層ガラス(ペアガラス)は、なんとか触る事が出来たのですがかなり熱かったです。
Low-e複層ガラスでは、普通に触る事ができて、あたたかいと感じました。
こんな経験からも、Low-eガラスをおススメしています。
この他にガラスを3枚使ったトリプルガラスもありまし、複層ガラス(ペアガラス)のガラスとガラスの間には、乾燥した空気が入っている事が多いですが、それよりも断熱性能が高いアルゴンガスやクリプトンガスが入ったペアガラスもあります。
今では、新築の住宅で単板ガラスを使う事はほぼ無いと思います。
基本は複層ガラス(ペアガラス)で寒い地域などでは、ガス入りの複層ガラス(ペアガラス)やトリプルガラスを使うことが多くなっています。
窓からの熱の出入りを防いで、快適な冷暖房熱を室内に閉じ込める。
窓の断熱性能を高めることは、夏の暑さや冬の寒さを防ぐ事に繋がります。
つまりエアコンなどの冷暖房機器のエネルギー削減にもつながり、ランニングコストが安くなります。
Low-E複層ガラスは必須と書きましたが、ガラスの色によって特徴が違います。
Low-Eの色によって日射を取り込む量や遮る量が異なります。
上の図のように、Low-Eガラスにはガラスカラーというものがあります。
日射取得型は、日射を多く取り込む事が出来ます。
皆さまも体感で分かっていると思いますが、太陽の日射は夏に触れると暑いと感じ、冬に触れると暖かいと感じます。
よって、日射を沢山取り込めば部屋が暖かくなり、その結果として冬の暖房費を削減する効果があります。
逆に日射遮蔽型は日射を遮る効果があります。
これは太陽の光を遮る事で夏の冷房費を削減する効果があります。
ただし、冬の暖かい太陽の日射も遮ってしまうので、部屋が暖かくなりにくい場合もあります。
日射取得型ガラスや日射遮蔽型ガラスを家の東西南北どこの方角に配置するかにより、家の省エネや断熱、快適性に影響が出ます。
方角に合わせてガラス選びをすることが大切です。
私たちが施工エリアとしている場所は、日射量が著しく高い年間の日射区分4地域となっています。
なので、基本的にガラスはLow-eの日射遮蔽型を採用します。
南面に関しては、庇やバルコニーなどで日射が遮れる場合のみLow-e日射取得型を採用します。
岐阜県は夏78°、冬31°で太陽の日射が入ってきます。
庇やバルコニーなど日射を防ぐものがあれば、夏は日射を遮る事が出来ます。
反対に、冬は太陽の角度が低くなるので、暖かい日射を取り込む事が出来ます。
このことから冬に日射を沢山取り込めるようにLow-e日射取得型を採用します。
学校を対象とした調査がありました。
窓が大きい教室の学生の方がテストの点数が良いという結果。
又、窓のない教室では若年層ほど欠席率が高いという事例がありました。
さらに、コールセンターを対象とした調査でも自然の光により仕事の効率がUPしたそうです!
さらに、さらに、病院では自然の光が入る病室では、入院期間が短く手術後の回復や鎮痛材の使用量にも良い影響がありました!
※参考文献 シンポジウム資料 スマート・デイライティング 快適な省エネルギー照明設計に向けて
(2013年11月29日、日本建築学会 環境工学委員会 光環境運営委員会 省エネルギーと光環境小委員会)
上記の事から、窓は明るい方がいいとなります。
しかし、取り付け場所も重要になります。
なんでもかんでも窓を取り付けて、明るくすればいいかと言うとそうではありません。
夏の暑い日射が入り家が暑くなったり。
冬の暖かい日射が入らず家が寒くなったり。
性能が良くない窓の為、窓から冷気や暖気が逃げたり入ったり。
学校の教室や病室の窓は南側や西側にはほぼ取り付けをしません。
安定して明るい北側もしくは、午前だけ明るい東側に取り付けする事がほとんどです。
南側は学校や病院の設計や構造上そんなに沢山取れない事が多く、西側は西日がきつくて部屋が暑くなりすぎたり、眩しかったりします。
適材適所に窓を設ける事が大切になります。
職業柄、設計が上手な建築家をよく観察します。
設計が上手な秘訣の一つに「窓が少なめ」と言う事に気がつきました。
窓が沢山ついている家は、設計者の意図によるものもありますが、多くの場合はお客様に「暗い」とクレームを言われない為の場合が多いように感じます。
それこそが夏暑く、冬寒い家になる要因でもあります。
窓が少ない=夏涼しく冬暖かい家という公式が成り立ちます。
よい空間をつくろうというのではなく、窓をつけておいたほうが無難だから窓をつける。
その分だけ「暮らしを守るのに必要な壁」が減ってしまいます。
更に、近隣の見たくない景色(お隣の給湯器やエアコンの室外機など)が見えてしまいます。
窓を減らそうとすると、本当にこの窓は必要か?大きさや位置はここでよいのか?部屋は暗くないか?などなど良く考えなければいけません。
これは、とても大変な事で時間と労力がかかります。
一方で、建築雑誌によくある街に対して窓が極端に少ない家もあります。
窓が少ないとスタイリッシュでカッコよく見えますが、建築家の独りよがりな場合もあります。
窓は外部との繋がりを保つ役割もあるので、閉じ過ぎてしまうと街と距離が出てきます。
街には、見たくないものや見えたくないものがあります。(ゴミステーションや近隣の洗濯物など)
ちょうどいい窓の量を見つける事が、心地よい家になると感じます。
上の写真の左側のように窓が1としたら、壁が3倍ぐらいあるとちょうどいい。
庭に面した部分には大きな窓をとり、近隣の方とのコミュニケーションがとりやすいです。
窓を取り付ける高さも重要です。
高窓なら近隣の方との窓の位置が同じになるのを防げます。
地窓も近隣の方との窓の位置が同じになるのを防げます。
近隣の方への気遣いがある家は、近隣の方と良好に過ごせる要因の一つです。
窓をよく考えているハウスメーカーに出会えたら、むやみやたらに「窓をつけて」と要望を出さないほうが良いです。
室内、室外共に空間が良くなる事に間違いありません。
窓はとても重要です!家の性能や住み心地に直結します。
ワダハウジング和田製材株式会社
・一級建築士
・一級建築施工管理技士
・省エネ建築診断士(エキスパート)
・住宅外皮マイスター
・既存住宅状況調査技術者
・一般社団法人みんなの住宅研究所会員(会員番号:200019)
纐纈和正
家づくりは人生のうち一度あるかどうか。
どんな家がいいか、お金のこと、土地のことなど、わからないことだらけなのが当たり前です。
みなさん同じです。そういった場合は、まず専門家に聞きましょう。
ご来店またはホームページ、インスタDMなど、
お客様の使いやすい方法でご質問ください。
私たち住まいのプロが、お客様の疑問や不安に正直にお答えいたします。
しつこい営業は致しませんので、その点もご安心ください。
家を考え出す時は、まずは、イメージやデザインから興味を持たれる方が大半です。
しかし、家はイメージだけで決めてはいけません。
健康に快適な毎日を過ごすための確かな品質があってこそのものです。
健康で豊かな暮らしができる家を建てる為に、知ってて良かったと言われる知識を盛り込んだ資料をプレゼントいたします。
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※プレゼントは、岐阜県土岐市・瑞浪市・多治見市・可児市・可児郡で建築予定の方に限らせていただきます。
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