2024.10.01
こんにちは!
ワダハウジングの纐纈です。
もともと、日本の住宅の屋根には、水平になるところはありませんでした。
雨水は、軒の出をしっかり確保して、屋根に勾配を付けて流してやることが原理原則になります。
しかし、現代の住宅には、水平になる部分が2 つあります。
それは、バルコニーの床と手摺となる壁の上部、屋根のパラペットと呼ばれる部分の上部です。
(手摺となる壁とパラペットは、ほぼ同じ構造なので2つとしています)
パラペットとは、勾配が緩い屋根において、外壁と屋根の境にある立ち上がりの部分のことを言います。
パラペットは屋根やバルコニーの手摺壁の防水用の立ち上がり壁で、雨水が直接外壁に流れるのを防ぐ役割があります。
パラペットの最上部に取り付けられる水切りを「笠木」と呼びます。
上記写真でいうと手摺の下部分になります。
(赤字で印をしています)
このバルコニーの床とパラペットは、木造住宅の雨漏れと防水で弱点になる場合が多くありますので、しっかりした対策が必要になります。
パラペットの「笠木」の注意点について説明したいと思います。
「笠木」とは、パラペットやバルコニー手摺壁の上部に、保護と防水のために取り付ける金属製の水切りです。
バルコニーの床では、アルミ製の手摺付きの笠木が使われることが多いです。
バルコニー床の場合、デザイン性や安全性、布団干し等の為に笠木に手摺をつける場合が多くなります。
屋根のパラペットでは、板金製の笠木が使われる場合が多いです。
金属の板のことを言います。
また「板」状の「金属」を加工する技術のことも板金と呼ばれています。
板金は、機械や、建物など多くの場所に使われています。
特に、最近の住宅のトレンドとして三方パラペットのキューブ型の住宅が増えています。
また住宅以外の大規模木造建築でも、北側斜線という高さ制限や、隣地斜線という高さの制限、デザイン面から金属屋根のキューブ型の建物が増えており、板金笠木が増加する傾向にあります。
「板金笠木」の場合、日本の様々な基準書に適切な施工方法の解説がなく、住宅施工者の知識や経験にお任せしている部分です。
多くの職人が関わる可能性があり、住宅の外部の中でも雨漏れのリスクが非常に高い部分なのに、施工方法が確立されていないのは心配です。
上記の写真は、引き渡し後1 年で劣化した板金笠木の写真です。
私が所属している「みんなの住宅研究所」にて、いただいた写真になります。
パラペット上部の、板金笠木を上から釘打ちして取り付けられていました。
水平になるパラペット上部に釘を打ってしまった為、その釘のまわりが貫通穴になり、雨水の侵入経路となってしまいました。
これにより、構造体に雨漏れしたことで、板金笠木を1 年で錆びさせてしまいました。
現在の住宅の屋根は、約半数が板金屋根になっています。
パラペットを設けた場合は、屋上を作る場合を除き、ほとんどが三方パラペットです。
三方パラペットは三方向を壁として立ち上げ、片流れ屋根を隠してキューブ型に見えるようにする場合がほとんどです。
一方向を残すのは雨水を流す為で、実際には樋を取付して雨水を集水します。
三方パラペットの壁の上は板金笠木だけで最大5種の職人(大工、板金、外壁、左官、エクステリア業者)が必要になる場合があります。
板金笠木と同様に屋根も板金(ガルバリウム鋼板)にすると同じ職人で同時に工事することも可能になります。
たとえば上記画像のように、三方パラペットの内側の壁も板金や金属サイディングなどで仕上げをすれば、屋根工事と同じタイミングで工事をしておくことも可能になります。
また、屋根工事の後に外壁の職人や左官職人が、板金笠木とパラペット内壁と外壁を同じタイミングで工事をすることも可能になります。
なるべく、パラペットの工事を少ない職人にまとめることが雨漏れを防ぐ上で大事になります。
アルミ笠木の場合は、工事が完成間近になる場合が多くその間、手摺壁の上が雨水に晒され、構造材に含まれる水分量が増えるリスクがあります。
構造材である木材の水分量が増えると、乾燥する段階で反りなどの変形や木割れなどを起こしてしまいます。
なるべく、水に濡らさないようにしないと仕上がりに影響があります。
また、工事中にパラペットの上が損傷するリスクもあります。
アルミ笠木の取り付けは、パラペットの天端に貫通穴を開けてアルミ笠木を支持するブラケットを設置します。
アルミ笠木とパラペットの間には空間があり、笠木と天端の間に雨水が入った場合、ブラケット取付穴から雨水が浸入する事もあります。
上記画像はYKKapさんの笠木
アルミ笠木の工事は簡単なようですが、実は複雑です。
外国人労働者も増えてきた現状、複数の職人が入り組むようなことは避けたいところです。
それでは、どのようにすればよいか?
工事をするポイントは、雨仕舞をしっかりすること、これにつきます。
構造体を工事中の雨水でできるだけ濡らさないないように、ブルーシートを掛けておく。
なるべく早く防水シートで構造体を囲う。
仮に雨が降り濡れたとしても、しっかり乾かせられるように換気や通気できるようにしておくことです。
上記画像はハウゼコさんの通気金物
この画像のように金物で換気や通気ができる部材を使用することが大切になります。
換気や通気をすると言う事は穴が空いているというになります。
穴が無いと換気や通気は出来ません。
しかし、穴があると雨漏れするリスクがあります。
全く雨に濡れない、濡らさない自信があれば、通気や換気を無視しても良いかもしれませんが、現実的にはありえません。
上記画像はJOTOさんの通気金物
このように、パラペットの上は、設計者、工務店、屋根職人、外壁職人等たくさんの職種が入り組む、トラブルの起きやすい部位でになります。
その問題点を把握し、それぞれの工事に対して的確な指示や部材を検討することが必要になります。
短時間豪雨の頻発や高気密高断熱住宅の普及により、住宅の通気や換気の設計、雨仕舞は、施工業者任せではなく、設計者がエビデンスに基づいて同工事をするのかを考える時代になっていると思います。
私が勉強したのが「住まいの耐久性大百科事典Ⅰ・Ⅱ」になります。
コチラは一般社団法人住まいの屋根換気壁通気研究会が出版しています。
この会は、木造住宅における屋根換気・壁通気による外皮の耐久性向上に関する研究をテーマとして2014年10月に設立された一般社団法人です。
私が資格を持っている住宅外皮マイスターもこの会が主催しています。
住宅の耐久性を学ぶには最適だと思います。
理事:坂本雄三先生 東京大学名誉教授 工学博士 前国立研究開発法人建築研究所理事長
理事:石川廣三先生 東海大学名誉教授 工学博士
理事:岩前篤先生 近畿大学副学長 教授 博士(工学)
理事:松尾和也さん 株式会社松尾設計室代表取締役
理事長:神戸睦史さん 株式会社ハウゼコ代表取締役社長
このような方々がこの会を主催しています。
住宅の耐久性は建築士の資格試験で勉強はしますが、それよりも詳しく学べます。
住宅は一度建てたらそう何度も建て直すことが出来ません。
耐久性も考慮して住宅を建てていただきたいと思っています。
上記画像は日本住環境さんの通気金物
具体的には聞くのは、
・通気金物は何を使っていますか?
・外壁の通気はどうしていますか?
・屋根の通気はどうしていますか?
などと聞いてみてください。
この質問にしっかり答えられたら耐久性のこと考えている会社だと思います。
濁したり、曖昧な返答の場合は注意してください。
ワダハウジング和田製材株式会社
・一級建築士
・一級建築施工管理技士
・一般社団法人みんなの住宅研究所会員(会員番号:200019)
纐纈和正
家づくりは人生のうち一度あるかどうか。
どんな家がいいか、お金のこと、土地のことなど、わからないことだらけなのが当たり前です。
みなさん同じです。そういった場合は、まず専門家に聞きましょう。
ご来店またはホームページ、インスタDMなど、
お客様の使いやすい方法でご質問ください。
私たち住まいのプロが、お客様の疑問や不安に正直にお答えいたします。
しつこい営業は致しませんので、その点もご安心ください。
家を考え出す時は、まずは、イメージやデザインから興味を持たれる方が大半です。
しかし、家はイメージだけで決めてはいけません。
健康に快適な毎日を過ごすための確かな品質があってこそのものです。
健康で豊かな暮らしができる家を建てる為に、知ってて良かったと言われる知識を盛り込んだ資料をプレゼントいたします。
お一組様1回限り、毎月5名様限定。
※プレゼントは、岐阜県土岐市・瑞浪市・多治見市・可児市・可児郡で建築予定の方に限らせていただきます。
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