2024.11.16
こんにちは!
ワダハウジングの纐纈です。
今回は住宅の雨漏れの二次防水層として、とても重要な透湿防水シートについて説明しようと思います。
目次
透湿防水シートとは、外壁から水が入った時にその水が室内へ入らないようにする二次止水層(防水紙)として用いる防水と室内の湿気を外に排出する透湿性を兼ね備えた特殊なシートのことです。
透湿防水シートの特徴は、湿気を通して水を通さないという何とも優れた性能を持っています。
この特徴からハウスラップ(防風層)とべーパーバリア(防湿層)両方に使えます。
透湿防水シートには、緻密な不織布単層で構成されるものと、不織布の多孔性フィルムを張り合わせた複層構成のもの2種類あります。
日本透湿防水シート協会が示す透湿性能を表す指標として、透湿抵抗値というものがあります。
単位は、m²・s・Pa/μg で、数値が小さいほど同一面積、かつ同一の水蒸気圧差における水蒸気の通過する量が多いことを示し、透湿性が高いシートであるということになります。
湿気を通すということは、ミクロ単位で見ると表面には穴があいていることになります。
それが水を入れずに湿気だけを排出する仕組みは、表面の撥水効果です。
そのため、表面に界面活性剤などが付着してしまうと撥水性が失われ防水の役割を果たさなくなってしまいます。
界面活性剤は、簡単にいうと「水と油をつなぐ役割を果たす」成分の総称です。
身近なところでは、マヨネーズにも界面活性剤のようなものが含まれています。
その他の界面活性剤というと、防腐防蟻剤などの木材保存処理薬剤に注意が必要です。
薬剤には界面活性剤が含まれていることが多いので、薬剤処理した部材に透湿防水シートを貼った後に雨が降り濡れると、溶け出した界面活性成分によって防水性が損なわれる可能性があります。
その他にも構造を支える構造用の合板や外壁の下地となる胴縁など、防腐防蟻処理をした後の乾燥が不十分なことで界面活性剤が溶け出してしまうこともあります。
以前は胴縁等に薬剤処理した部材を使うことは稀でしたが、現在では処理をすることが多くなりつつあり、特に注文していないのに薬剤処理した部材が入ってきてしまうこともあります。
現場では薬剤処理部材であるという認識がないので、施工中に雨で濡れて界面活性剤が溶け出し問題になることがあります。
ちなみに、木材保存処理薬剤には油剤と水溶剤の2種類あります。
油剤には界面活性剤が含まれることは少ないです。
施工中に雨で濡れても界面活性剤による透湿防水シートの防水性を損なうリスクは高くありません。
その一方で、油剤は文字通り油であるため、室内の水分を透湿しづらくなります。
透湿防水シートに付着させないようにするなどの注意が必要になります。
一般的な木材保存処理薬剤はほぼ水溶性です。
木材保存処理薬剤を塗布したら十分に乾燥させることが大事です。
更に現場ではブルーシートなどで覆い雨に濡らさないように注意することが必要になります。
上記画像が水溶性の木材保存処理薬剤を加圧注入した土台になります。
余談ですが、加圧注入とは木材を注薬缶と呼ばれる釜に入れ、高い圧力をかけながら、薬剤を木材内部に深く浸透させる方法です。
保存処理方法の中では最も効果が高いとされています。
窯業系サイディングなどを外壁に使う場合、胴縁そのものを使わない通気金具留め工法というものがあります。
この場合は、胴縁と呼ばれる木材を使うわけではないのでリスクはありません。
その他の 胴縁を使わない工法などもリスクがありません。
上記写真は分かりにくいですが、通称EPSというビーズ法ポリスチレンフォーム断熱材に左官職人が塗り材で外壁を仕上げています。
このような外壁も胴縁を使用しないのでリスクはありません。
金額は高いですが、シートに界面活性剤の影響を軽減する特殊コーティングを施した対策品もあります。
透湿防水シートを壁に留め付けるときにはステープルを打ちます。
ステープルとは分かりやすい言葉で言うと「ホチキス留め」のことです。
書類にホチキスを留める事を、ステープルと言います。
そのステープルで留めた孔から水が入ることも問題になります。
ステープルは胴縁を打つまでの仮留めなので、できるだけ雨のかからないところに打ちます。
ステープルが防水紙を貫通するので、その周辺に隙間が生じやすくなり、漏水することがあるため、仮留めは必要最小限とすることが重要です。
特にバルコニーの手摺になるような水平面の上部にステープルを打つことは禁物です。
雨が直接当たるので漏水しやすい場所です。
透湿防水シートの素材はプラスチックなので、紫外線や熱の影響を受けます。
長期間直射日光にさらされると紫外線の影響を受けて劣化が促進する可能性もあるので、透湿防水シートの施工後は外壁の仕上げをできるだけ速やかに行うようにします。
透湿防水シートは横向きに下から張っていきます。
この時にシートとシートの重ね代は上下が90mm 以上、左右が150mm 以上とします。
透湿防水シートの端部や窓などの接続部は防水テープで処理します。
シートとテープには相性があり、相性が良くないテープを使用した場合、シートにシワなどができたり、テープの粘着材の成分によって、透湿防水シートの防水性を著しく低下させる影響があります。
アスファルト系のテープは、透湿防水シートに悪影響を及ぼすことが多いため、現在は透湿防水シートにはほとんど使われなくなりましたが、知らずに使っている場合もあるので、注意が必要です。
ブチルゴム系粘着材のテープは、透湿防水シートとの相性が確認されていないものを使用した場合、粘着剤に含まれる添加剤などが透湿防水シートに移行し、シワを発生させたり、防水性を低下させることもあります。
上記のようなシワや防水性の低下を防ぐには、シートメーカーが指定する防水テープを使用することが重要になります。
メーカーの指定する部材は試験などをして防水性や耐久性などの確認がしてあります。
窓廻りや換気扇、外部コンセントなどの貫通部は特に注意が必要です。
メーカー指定の防水テープを使用していないとシワや防水性能の低下により雨漏れしてしまいます。
特に窓は外壁に開いている部分が大きいので、雨漏れの弱点になりやすい場所です。
窓専用のシートを使うことでより雨漏れしにくくなります。
正確には雨漏れしにくいというより、室内に水が入らないようになります。
施工要領書をよく読み、部材をしっかり選定して、正しく施工することが雨漏れを起こさない住宅になります。
住宅の形状によっても雨漏れしやすい、しにくいという形状というものがありますが、住宅の雨漏れの二次防水層として、とても重要な透湿防水シートの正しい部材選定と施工も大事になります。
これにより万が一、一次防水である外壁から雨漏れしても、二次防水があることで室内に水が入らなくなります。
水がなければ木材にカビ、ダニは発生しません。
木材を腐らせる腐朽菌も発生しないので、住宅が長持ちします。
ワダハウジング和田製材株式会社
・一級建築士
・一級建築施工管理技士
・一般社団法人みんなの住宅研究所会員(会員番号:200019)
纐纈和正
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