2024.06.01
新築住宅でカビやダニの発生を抑制することが出来る3つのPOINT!
こんにちは!
ワダハウジングの纐纈です。
ジメジメした梅雨の季節です。
この時期に窓を開けた換気は非常に危険です。
ダニやカビが発生する原因になります。
目次
今までの日本の住宅は?
今までの日本では夏を快適に乗り切るために住宅内の通風をとても重視してきました。
30年ほど前の田舎の家は、住宅の密度も少なく気候も涼しかった。
その時代の通風はとても心地よかったと思います。
しかし、昨今の夏は最高気温が上昇を続け、通風だけではしのげなくなっています。
東京大学の前真之准教授は、アメダスの卓越風による通風の検討はほぼ無意味だと研究で明らかにしていました。
又、温度と湿度環境のデータでは1月~3月と11月~12月は加湿が必要。
6月~9月は除湿が必要。
何もしなくても大丈夫なのは4月~5月と10月だけとなっていました。
つまり、除湿が必要な6月~9月に通風を行うと、大量の水分が住宅内に入ってしまい、カビやダニかが生息しやすくなる環境を自らつくってしまっていることになります。
全ては湿り空気線図から!
上記のような湿り空気線図を利用して室温や湿度、何℃になったら結露するのかを読み取り、各地の気候に合わせてカビやダニが生息しづらい環境を導き出します。
横軸が顕熱です。
顕熱とは温度上昇また温度下降を伴う熱のことを言います。
縦軸が潜熱です。
潜熱とは固体から液体へ、液体から気体など物体が変化するとき、温度上昇を伴わない状態で変化する際に費やされる熱をいいます。
潜熱=水分量と言い換えても間違いではなりません。
この湿り空気線図で気温〇℃で湿度〇%のときどちらが湿っているか比べることができます。
その他に〇℃で湿度〇%だと結露するのかしないのかが分かったり、絶対的な湿度量が一定の場合、気温によて不快に感じる湿度量がどれくらいかも分かります。
例題で説明します。
例題①室温10℃で湿度80%の部屋と室温30℃で湿度60%の部屋ではどちらが湿っているか?
室温10℃で湿度80%の部屋の絶対湿度は0.00609㎏=6.09g
室温30℃で湿度60%の部屋の絶対湿度は0.01605㎏=16.05g
と湿り空気線図から読み取れます。
よって答えは数字の大きい室温30℃で湿度60%の部屋の方が湿っていることになります。
例題②室温20℃で湿度50%の部屋が結露を始める室温は?
湿り空気線図から読み取ると湿度50%を保ったままですと9.27℃まで室温が下がると結露します。
例題③絶対湿度が3gの部屋で室温が10℃、15℃、20℃のときの相対湿度はそれぞれ〇%?
室温10℃=39.6%
室温15℃=28.51%
室温20℃=20.79%
上記のようになります。
気象庁の岐阜県多治見市、年ごとの主な要素はコチラの文字をクリック
気象庁の岐阜県多治見市、2023年月ごとの主な要素はコチラの文字をクリック
多治見市は湿度表示がされていないので、湿度を見るときは名古屋市を参考にしています。
気象庁の愛知県名古屋市、年ごとの主な要素はコチラの文字をクリック
そこから、上記サイトと照らし合わせてダニやカビが生息しやすいのか判断をします。
ちなみに、現在は湿り空気線図を読み取らなくても室温や湿度などを入力したらすぐに計算をしてくれるアプリやソフトもあるので便利です。
ちなみに私がダウンロードして利用しているのがコチラ→Air Calc
興味がある方はダウンロードして試してみてください。
ダニやカビから解放される方法とは?
まずは「カビやダニが発生しやすい条件」を知る事が大切になります。
カビ、ダニ発生の4大要素!
①温度(20~35℃)
②湿度(70~80%)
③栄養(食べかす、ホコリなど)
④空気(酸素)
と言われています。
この中で一番気をつけないといけない事があります。
それは何でしょうか?
正解は②の湿度です。
先程も述べたように6月~9月は除湿をしないといけない状態です。
この6月~9月というのは、上記で書いた湿り空気線図と気象庁のサイトを照らし合わせて導き出した月になります。
正確には5月や10月でも除湿が必要な日があったり、6月~9月でも除湿しなくてよい日もありますが、分かりやすくしています。
というのも阿部恵子記念 一般社団法人カビ予報研究室
ではカビ指数7を超えると1週間で発芽し始める表があります。
よって1日2日程度ならカビ指数が7を超えても大丈夫だと判断してのことです。
カビ指数7とは
温度30℃で相対湿度73%ぐらい
温度20℃で相対湿度76%ぐらい
温度10℃で相対湿度83%ぐらい
つまり湿気対策が不十分であるほどカビが発生しやすい状況になります。
ダニ気温が20℃以上でも相対湿度が60%を超えたあたりから急激に繁殖しはじめます。
このあたりの根拠は普通に検索していただくと、いろいろなサイトがあるので省略します。
つまり、温度が20℃以下で湿度が60%以下ならカビ、ダニが発生しにくい事になります。
よって「換気」「除湿」で発生を防ぐのです。
この他にも「掃除」も大切になります。
これはダニの餌となる人や動物が落とすフケやアカ,食べ物のかす,カビ等を除去することも大事です。
ダニはカビを好むのでカビを発生させないことも重要です。
しかし、夏場に温度が20℃以下で湿度が60%以下は現実的に難しい事が多いです。
湿度は除湿機などで下げる事が出来ますが、夏場に温度が20℃以下は寒いと感じます。
エアコンを24時間入れっぱなしにするしかない。
電気代はこの際しょうがない。
掃除は頑張って家族皆で行う!
家事シェアでなんとかしましょう。
とはいってもなかなか難しいですよね。
これから新築住宅を建てる方にならカビ、ダニの発生を抑制できる新築住宅を建てる事が出来ます。
新築住宅でカビやダニの発生を抑制することが出来る3つのPOINT!
①木造で新築住宅を建てる!
木造で新築住宅を建てると木の持つ調湿効果が期待できるので、湿気対策が随分と楽になります。
木材には、空気中の湿度が高いときには水分を吸収し、湿度が低いときには水分を放出する特徴があります。
無垢の木の柱は、ビール瓶約6本分の水分を吸放湿するといわれています。
これは、木が新築住宅用の材料として加工された後でもしっかり生きている証拠になります。
②内装には自然素材を採用する!
自然素材にも調湿効果があり、湿気対策で随分と助けになります。
自然素材には木材も含まれますが、紙、草、タイル、石、土など沢山種類があります。
自然素材を加工して、無垢の木、和紙やタイル、大理石などの石のほか、月桃やケナフという草を原料とした壁紙、コルクや麻、ココヤシを原料とした床材、亜麻仁油と松樹脂などからつくられたリノリウム、竹や籐を使った床材、消石灰が主原料の漆喰や土が主原料の珪藻土などがあります。
自然の素材には、もともとその素材が持つ吸湿・放湿作用があり、自然素材なので余計な化学物質を含まず、健康への影響もありません。
余談ですが、臭いの吸着分解にも効果を発揮する材料もあります。
③断熱と気密性能を確保する!
断熱と気密もやはり重要です。
断熱性能が良い住宅なら夏の時期の極端な温度上昇を防げます。
流石にエアコン無しとはいきませんが、性能が良いので、過剰に温度を下げる必要がないので電気代の助けになります。
気密性能が高いと新築住宅を建てる時に、必ずつけないといけない24時間換気の機能をしっかりと発揮してくれます。
建築基準法で定められており、窓開けをしなくても換気ができます。
基本は掃除をするとき以外はつけっぱなしになります。
目安の数値はUA値0.46以下、C値1.0以下です。
UA値0.46とは断熱等性能等級の6になります。
これぐらいの断熱性能があるとエアコンが1~2台ほどで家中を冷やしたり、暖めたり出来ます。
各室にエアコンをつけるよりもかなり経済的です。
そして、気密性能が低いと換気をしっかりしてくれません。
ストローを思い出してください。
ストローの途中に穴が空いていると上手く吸えない事と同じで、家の中に隙間が多いとそこから外気の湿度が入ったり、冷やした冷気や暖めた暖気が逃げてしまいます。
北海道建築技術協会にC値が1.0でも24時間換気の第3種換気の自然給気口から50%しか給気ができないデータがありました。
C値2.0で30%ほど、C値4.0になると20%ほどしか自然給気口から給気ができないそうです。
よってC値は最低でも1.0以下にしないとしっかり換気ができないことになります。
ここまで出来れば、後は掃除のみです!
掃除はロボット掃除機などの家電にも助けてもらいながら頑張りましょう!
ここまで出来れば、カビやダニから解放されるといっても過言ではありません。
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ワダハウジング和田製材株式会社
・一級建築士
・一級建築施工管理技士
・省エネ建築診断士(エキスパート)
・住宅外皮マイスター
・一般社団法人みんなの住宅研究所会員(会員番号:200019)
・既存住宅状況調査技術者
纐纈和正