2025.03.01
構造計算をした家=安全な家ではありません。計算をする前の間取りも大事です
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こんにちは!
ワダハウジングの纐纈です。
一級建築士など多数資格を持っています!
家に係わる仕事を長くやっているといろいろ分かってきます。
許容応力度計算や性能表示計算など、家の安全性を高める計算をした家でも安全な家ではないと分かってきました。
「許容応力度計算をすれば安全だ」
確かにそうですが、計算ソフトの設定によって安全性が変わってきます。
梁のたわみ量や木材の樹種の設定、家の重さなどを正しく入力できてはじめて安全な家になるのですが、たまに計算ソフトの設定が上手にできていない計算書をみかけます。
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ただし、構造計算をしていないよりも計算をしているだけ安全です。
それよりも、私が気になっているのは間取りです。
平屋ならあまり気にならないのですが、2階建ての家の安全性が気になります。
2階建ての家の安全性
2階建ての家は、1階の上に2階がのるのですが、2階を支える1階部分に壁や柱が全くない間取りをみかけます。
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古い家でも、新しい家でも関係なくあります。
能登半島地震、30年経過した阪神淡路大震災などで2階が1階をつぶしている映像が流れます。
あれは、2階を支える1階に壁や柱がなく2階の重みで1階をつぶしているパターンが多いです。
それ以外ですと、1階が窓ばかりで、耐力壁と呼ばれる地震や台風時に家を支える壁が少ないパターンのどちらかが大半です。
それ他では家は安全だったけど、地盤が液状化してしまったなどの問題もありますし、繰り返しの地震でダメージを受けて耐えきれなくなったり、白蟻にやられていて想定した強度を保てなかったということもあります。
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この中で、大半を占める耐力壁が少ないパターンと2階の直下に壁や柱がないパターンは間取りを考える上でとても重要になります。
大きな梁自慢は設計が上手くいっていない?
「うちは梁が大きいから大丈夫!」という梁自慢をする方がみえます。
私も構造を勉強していないときは、梁が大きいから安全そうだなぁ~と思っていました。
しかし、構造を勉強していくと「梁が大きい=安全」ではないことが分かってきます。
大きな梁でないと支えられない、安全性が確保できないことは間取りの設計が上手くいっていないことと同じです。
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大きな梁になる要因は、大空間にする場合、2階の重量が想定よりある場合、構造計画がしっかりできていない場合など様々あります。
この中で一番問題なのは、構造計画がしっかりできていない場合です。
構造計画とは?
一級建築士試験の製図や二級建築士試験の木造以外の製図をやったことがある方は、最初にやることが決まっています。
それは、柱と柱を何メートル間隔にするという、柱スパンというものを決めます。
その柱スパンがある状態で間取りを作成していくのが木造以外の考え方です。
そして当然のように2階以上もその柱がある状態で考えていきます。
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なぜか木造住宅になると間取りを先に考えて、後から柱の位置を落としていく設計をされる方が多いのが事実です。
こうなると構造が合理的にならず、いろんなところに無理な力がかかり構造計算しても大きな梁になってしまう要因になります。
大きな梁は金額も高くなるので、なるべく少なくしたいところです。
その他では、構造に影響しない柱があると基礎梁も増やさないといけなくなり、増々金額が高くなり、経済的とはいえません。
1階に2階を支える壁がない
冒頭でも書きましたが、文章だけ読むとよく分からないと思いますので図面を載せます。
耐震補強計画をする前のお家の間取りになります。
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上の図面の1階に2階がある部分を緑色で描いています。
ここであまりよくないのが、y2ラインとx1ラインのy8~y12になります。
y2ラインは2階を支える部分がx2の柱1本しかいません。
x1ラインのy8~y12もy10の柱1本で支えています。
この状態ですと、梁で2階を支えるしかなくなるので、大きな梁になってしまいます。
大きな梁で構造計算して大丈夫ならいいですが、このような状態で許容応力度計算という構造計算をするとエラーになってしまい、安全性が確保できない事もあります。
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ちなみに許容応力度計算ではなく、品確法の性能表示計算や建築基準法の壁量計算だとエラーにならないので、新築でもこのような図面を目にすることがあります。
何度も許容応力度計算をした感覚では、2階を支える1階の耐力壁は家の長さの1/4以上ないと計算が成り立たない場合が多いです。
その他に2階の壁部分の1階にも壁をつくることを壁の直下率というのですが、この壁の直下率は60%以上は欲しいところです。
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上の間取りは2階の外周部がある1階になるべく壁を設けています。
理想は、2階内部の壁の下にも1階に壁があるとよいのですが、これは構造が分かっていると他の方法で、どうにでもなるので後ほど解説します。
1階に2階を支える柱がない
当然ながら2階の柱の下、1階の同じ位置に柱がいた方が構造を安定させやすいです。
そして、梁が小さくなり経済的になります。
柱の直下率は100%が理想です。
これは、間取りと構造計画をセットで考えないとかなり難しくなります。
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2階がある部分を赤色で描き、青い四角が2階の柱のある位置で1階に柱がない場所になります。
このような場所があると、2階の柱が梁を押してしまうので梁が折れやすくなります。
よって2階の柱で押されても問題ないぐらい梁を大きくして対応することになります。
上記のように、1階に柱がない部分に2階の柱をのせることになるなら、あえて柱を無くしてしまう方法もあります。
柱がなくなれば、柱が梁を押して損傷することもなくなります。
この場合は、柱以外の木材で壁を造ることになります。
その分の重さを考慮して梁の計算をすれば、問題ありません。
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ちなみに柱となるのは、ほぞと呼ばれる凹凸を設けて土台や梁に差していく柱のことです。
ほぞを設けなければ、許容応力度計算上では柱として計算をしなくてもよくなります。
柱ではないので基礎梁も必要なくなり、経済的になります。
まとめ
構造計算をした家=安全な家ではない場合があります。
計算をする前の間取りも大事になります。
間取り作成時に構造も一緒に検討をしていくことがとても大事になります。
梁や柱をやたらめったら大きく太くした、力業で構造計算をした家にならないように気をつけて間取りをみてください。
この間取りどう?などと相談していただければ、アドバイスだけでもいたします。
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ワダハウジング和田製材株式会社
・一級建築士
・一級建築施工管理技士
・省エネ建築診断士(エキスパート)
・住宅外皮マイスター
・一般社団法人みんなの住宅研究所会員(会員番号:200019)
・既存住宅状況調査技術者
・JBN省令準耐火構造資格者
纐纈和正
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