2025.03.16
デザインは何とかなる!住宅の基本となる性能を疎かにすると後から後悔

こんにちは!
ワダハウジングの纐纈です。
一級建築士など多数資格を持っています!
街を歩いていたり、ドライブしたりしているとカッコイイと思える住宅に出会うことがあります。
ですが、そこはプロとしてやっているので少し違う目線で見てしまいます。

「あのデザインは参考になるな!」
「あぁ~年数が経過すると雨漏りしそう」
「あそこの納め方どうしてるんだろう?」
「構造計算どうやった?普通に計算すると成り立たない形してるけど…」
「最近は軒がないデザインばかりだけど、異常気象でおこる災害に大丈夫か?」
などなど…

目次
今の流行デザインに流されていいのか?
Instagramなんかでも本当にデザインの良い住宅は沢山あります。
もっとデザインの勉強をしないといけないなぁなどと思いつつも、今はいいけどその住宅で60代、70代になったとき違和感なく暮らせてるか?
などと疑問をもつデザインもあります。
流行を追い過ぎると10年後に古臭く感じてしまったり、20代に似合うデザインにしてしまったばかりに、50代になったら浮いてしまったなどという声もあります。

住宅を建てる時に、今しか見られないのはしょうがないと思います。
なので、そこはプロである私たちが説明したり、ヒアリングしたりしてご納得いただくことが大事だと思っています。
個人的には、内装のデザインは後からリフォームなどもしやすいですし、経年劣化もあるので時代に合わせていてもリカバリーしやすいとは思います。
モチロンお金のかかる事なので、水栓の故障、トイレの故障など生活に係わる部分が優先されるでしょうが…

やはり可能なら、住宅を建てたときに数年先のことまで考えておけると後悔が少なくなると思います。
そうはいってもデザインは重要
とはいえ、デザインは重要です。
古臭くならないようにするには、あまり最先端の壁紙や新建材を使わない方がよいと思います。
住宅に使用する壁紙や新建材は毎年毎年、新商品が発表されます。
私たちも新商品をチェックしたりしますが、基本はあまり使わないようにしています。
というのも、新建材は大体10年ぐらいで2/3以上が廃盤になることが多数です。

よって、弊社では、天然・自然素材や無垢の木などいつまでもあるもの、新建材を使うにしても10年前にもあった普遍的なデザインの物を使うようにしています。
新しさ、斬新さはないですが、10年後、20年後に古さや年を重ねた時の違和感を感じることが少なくなるようにしています。
デザインは住宅だけでは決まらない
住宅のデザインは住宅だけでは決まるわけではありません。
外観なら外構も重要な要素になります。
外構が出来ていないと住宅のデザインが半減してしまいます。
特に植栽などの緑があると住宅の印象が大きく変わります。

内装なら家具の他に、普段から使用するテッシュなどをケースに入れる、ゴミ箱を隠すなど細かな部分で変わります。
内装は生活感を如何にして消すかがポイントになります。
Instagramなどでカッコよく見えたり、デザインがよいと感じるものは、生活感が出ていない場合が大半です。
住宅そのものよりもインテリアでデザインを変えられるように、とてもシンプルな内装にしている場合もあります。

余談ですが、日本人がiPhoneに惹かれるのは、徹底して余分な凹凸やボタンなどを減らしたミニマムなデザインが「引き算の美学」となり、侘び寂びが分かる日本人の美学にあっているのだそうです。
このように住宅のデザインは、外構、家具、インテリアで大きく変わってきます。
デザイン以外にも目を向ける
ただし、住宅はデザインだけではありません。
雨、風をしのぐ、寛ぐ、落ち着く、寝る、食べる、勉強するなど様々な行動をする場所です。
基本性能と呼ばれる、耐震、耐風、断熱、気密、耐久性、遮音、換気、調湿など様々性能を満たす必要があります。

性能は住宅会社が当たり前に担保しているんじゃないの?
このような声を聴きますが、残念ながら当たり前ではないのが現状なのです。
2025年4月に法律が変わり、耐震と断熱だけ最低基準ができるのですが、そんなに大したレベルではありません。
耐震は壁の量が増える程度、断熱も日本に定められている断熱等級7のうちの4を満たせばよいという程度です。
これでは、現状の暮らしをより快適にすることに繋がりません。
デザインがよければ目の保養にはなるかも知れませんが…

少し前のアンケート調査ですが、住宅を建てる前と住宅を建て終えた後のアンケート結果です。
建てる前の性能の優先順位は低いですが、建てた後だと性能の不満が多いことが分かります。
このことから住宅の性能は大事だと理解をして、高性能な住宅に取り組むようになりました。
ここでいう高性能な住宅とは、耐震、耐風、断熱、気密、耐久性、遮音、換気、調湿などを高めつつ価格とのバランスを最適化したものです。
高性能住宅にすればするほど価格は高くなります。
現状、建てる価格とこれから暮らしていくお金(ランニングコスト)を合計した時に、30~35年後に一番安くなるように常に最適化をしています。
(住宅ローンを30~35年で組み方が多いからです)
高性能な住宅は何がいい?
地震に安心
まず、地震に安心です。
地震大国の日本で耐震性能がないのはもっての他です。
許容応力度計算という構造計算をしてもらってください。

更にいうなら、許容応力度計算をしていても繰り返しおこる弱い地震などで、住宅にダメージが蓄積されます。
その蓄積されるダメージを軽減する為に、制振装置などもあるとよいです。
特に2階建て以上の住宅なら制振装置の効果は非常に大きくなります。
台風や豪雨に安心
その他では台風や豪雨などの自然災害からも守ってくれます。
地球温暖化の影響による異常気象は年々激しくなっています。
大型の台風や集中豪雨など今まで想定しているものより、大きな被害があります。

許容応力度計算なら風圧力、いわゆる台風にも耐えられるか計算が出来ます。
基準となる風速よりも割り増しで計算したりして、安全性を確かめられます。
豪雨に関していうと軒がある住宅の方が雨漏れを起こしにくいと思います。
軒があると台風で飛ばされるなどと言う方もみえますが、許容応力度計算で風圧力を計算して安全性を確かめていれば問題ありません。
それより、少しでも豪雨があたる面を減らすことが大事になります。
というのも、雨漏れは開口部(窓、換気扇のフード、エアコンの冷媒配管など)から侵入します。

特に軒がない住宅は、耐久性の専門家である坂本雄三先生(東京大学名誉教授工学博士、前国立研究開発法人建築研究所理事長)、石川廣三先生(東海大学名誉教授工学博士)、岩前篤先生(近畿大学副学長教授工学博士)などはバッサリと「そんなもん、やらなきゃいい」と言います。
弊社ではあまりやりませんが、軒がない住宅はスタイリッシュにみえるので人気なのも頷けます。
どうしても軒がない住宅をやりたい場合は、軒と壁のすき間から雨が入らないけど空気が通る金物などを使用して細心の注意を払って工事をするしかありません。
(この部分を塞いでしまうと湿気の逃げ道がなくなり、住宅がカビだらけになってしまいます)

施工が難しい部分でもあるので、技術力がある住宅会社でないと心配です。
可能なら工事途中の現場で確認していただくとよいと思います。
健康で長生きしたいなら高性能住宅
ここまで、住宅の外観の話だけしてきましたが、高性能住宅の一番のメリットは室内環境にあると言えます。
断熱、気密、遮音、換気、調湿などは室内にいるときに感じます。
住宅が寒いと危ない


住宅が寒いと心疾患(狭心症、心筋梗塞、心不全など)の死亡率が高くなります。
日本では冬の室温を16℃以上推奨と厚生労働省が言っていますが、WHO(世界保健機関)では「冬の室温は18度以上」と強く勧告し「子どもと高齢者がいる室温はもっと温かく」としています。
ちなみに日本で一番暖かい寝室になっているのは北海道です。
日本で一番寒い寝室は、岐阜県のお隣である長野県なんだそうです。
寒い地域の方ほど断熱性能に気をつけているのでしょうね。
室内温度差のヒートショック

高性能住宅なら室内温度差によるヒートショックも防ぐことができます。
ヒートショックによる死亡者数は交通事故のおおよそ4倍です。
更にいうと入浴中だけでなく、部屋と廊下やトイレなど温度差があることでも起こります。
夜に暖かい布団から出て、トイレに向かう途中でヒートショックを起こした方もみえます。

断熱性能が高い高性能住宅で暮らすと各種疾患が改善されていきます。
断熱性能が高ければ高いほど、改善率も比例して高くなります。
高性能住宅は最初の建設費は高くなるのですが、冷暖房費用、医療費などが削減できるので、年数が経過するほどトータルの金額が安くなります。
冬の寒い時期などによっては、住宅ローン+暖房費で高性能住宅の方が安くなっている月があることもあります。

まとめ
デザインは「こんなのが好きです」と言ってもらえると、その通りにデザインすることもできます。
家具やインテリアで後からデザインを変えることもできます。
10年後、20年後に古臭さを感じない、年を重ねても違和感なく暮らせる普遍的なデザインも視野に入れるとよいと思います。

その点、性能は後からではどうすることも出来ません。
厳密には後からでもできるのですが、一度あるものを壊してやり直すので、新築時に行った方がかなり安く出来ます。
耐震、耐風、断熱、気密、耐久性、遮音、換気、調湿など基本性能が備わっていることも重視してください。
住宅会社が当たり前にやってくれていると思ったら、そうではありませんのでご注意ください。


ワダハウジング和田製材株式会社
・一級建築士
・一級建築施工管理技士
・省エネ建築診断士(エキスパート)
・住宅外皮マイスター
・一般社団法人みんなの住宅研究所会員(会員番号:200019)
・既存住宅状況調査技術者
・JBN省令準耐火構造資格者
纐纈和正
