2024.02.01
地震に強い家を建てるには構造計算をする前に、構造と間取りを一致させる
こんにちは!
ワダハウジングの纐纈です。
木造の家で地震に強い家は、許容応力度計算という構造計算をした耐震等級3の家が一番強いです。
その際に、構造と間取りを一致させる事がと共大事になります。
構造と間取りが一致していないと、耐震等級3を取得するのが非常に困難な間合いもあります。
その、構造と間取りがどれだけ一致しているか判断する方法があります。
それを専門用語で「直下率」と言いいます。
直下率とは?
直下率には2種類あります。
①柱の直下率
これは、2階の柱の下に1階の柱がどれだけあるか?
つまり、上下階の柱の位置がどれだけ一致しているかを示した値です。
上記の画像の青い丸印が柱です。
赤い丸印はより重要な柱になります。
上記の間取りは1階と2階でかなり同じ位置にあります。
②壁の直下率
これも考え方は同じです。
耐力壁と呼ばれる地震や台風に耐える壁が上下階でどれだけ一致しているかを示した値です。
上記の図では1Fの赤色の線が2階の壁がある部分を示します。
2Fの青色の線が1階の壁がある部分を示します。
この二つの値は相互に関係深いもので、柱の直下率が高くなると壁の直下率も高くなります。
直下率の目安は?
柱と壁の直下率がともに60%を超えた建物は、大地震に対しても非常に強くなります。
これは、阪神淡路大震災の調査などから分かった事です。
その為、間取りを考える際には、直下率60%を一つの目安にします。
法律で直下率の決まりはないの?
建築基準法では、直下率について何の基準も設けられていません。
直下率の低い間取りは耐震性のリスクが増えてしまいます。
直下率の低い間取りで構造計算をすると大きな梁や柱などが必要になり、骨組みの費用が高くなってしまうことが多々あります。
構造計算しないこともあるの?
木造の場合、特例によって建築士が家の設計をすると、構造計算が免除されているので、耐震性の良し悪しの裏付けがされないまま建築されていることがあります。
正確に言うと、免除というよりも建築確認申請時に提出義務がないから、構造計算をしないという事もあるそうです。
※確認申請とは、家を建てる方が家の工事をする前に、その家が建築基準関係規定(建築基準法などの各種法律)に適合するものであることについて、確認申請を行い、建築主事または指定確認検査機関の確認を受け、建築確認済証の交付を受けるものです。
上記画像は構造計算書の例です。
先ほども述べましたが、全ての会社が計算しているかというと分かりません。
当然、構造計算を行っていると思いますが、もしかしたら行っていない場合もあるかも知れません。
その場合「耐震等級についてどう考えてますか?」と聞いてみてください。
ここで、「建築基準法を守っているから大丈夫」などと言うようでしたら、問題ありです。
その会社のデザインや間取り、設備などが気に入ったとしても、やめて下さい。
地震大国の日本で耐震性能を疎かにしては絶対にいけません!
ちなみに、2025年4月より特例が廃止と縮小になります。
これにより、木造2階建ての家は確認申請時に構造の簡易計算書類を提出することになります。
これは、簡易な計算というものだけなので、しっかりした構造計算とはいえません。
木造平屋の場合ですと、200㎡以下なら今まで通り簡易計算書類の提出は必要ありません。
それでも、特例が廃止になることはいいことだと思います。
簡易計算とはいえ、計算をすることで耐震性能があがります。
経験や勘で家を建てられるよりもいいことだと思います。
地震大国の日本で構造計算をしない家に住んではいけないと「令和6年能登半島地震」で改めて実感した次第であります。
ワダハウジング和田製材株式会社
・一級建築士
・一級建築施工管理技士
・省エネ建築診断士(エキスパート)
・住宅外皮マイスター
・既存住宅状況調査技術者
・一般社団法人みんなの住宅研究所会員(会員番号:200019)
纐纈和正