2024.11.01
こんにちは!
ワダハウジングの纐纈です。
雨漏りしやすい場所に関連する各種部材を取り上げ、部材の目的や適切な施工方法などを説明したいと思います。
雨漏りを確実に防ぐためには正しく工事を実施することが、住宅の耐久性の基本になります。
何を当たり前の事を言っていると思われるでしょうが、これがなかなか難しいのです。
雨漏りを防ぐには雨が入る隙間を造らないことが大切になります。
しかし、木造の住宅の場合、湿度や雨の日の湿気などで木材が水分を含んでしまいます。
木材が水分を含んでも乾かせれば問題ありません。
しかし、水分を含んだ状態で気温が高くなると湿度の影響によりカビが発生しやすい環境になってしまいます。
カビが生えるだけなら木材を腐らせないので骨組みに影響はありませんが、健康には良くないのでカビを発生させたくありません。
そしてカビが発生しやすい状況というのは、木材を腐らせる腐朽菌が発生しやすい環境と同一です。
運悪く、カビではなく腐朽菌が発生したら木材は腐ってしまいます。
木材を腐らせないためにも水分を抜かなければいけません。
そこで木材が含んだ水分を乾かす為に通気層という空気が通る隙間をつくります。
雨漏りを防ぐためには隙間をつくらない!
木材を乾かす為には空気がながれる通気する隙間をつくる!
木造住宅はそんな相反することを同時に行わなければならないので、とても慎重に工事をしないといけません。
特に雨が直接あたる屋根や壁には注意が必要です。
外壁と基礎の隙間や壁と天井の隙間などに挿入します。
雨水が壁を伝わないようにするための板金部材を総称して「水切り」と呼びます。
主な役割は次のようなものがあります。
1 .雨水の流れを、住宅内に入らない方向へ移動させる
2 .外壁面に流れる雨水(表面を伝って落ちる雨水)を住宅内への回り込みを防ぐ
3 .外壁面を流れる雨水を受け止めて外部に排出する
水切りは、外壁の土台回り、外壁の中間部、窓の上や窓の下まわり、はね出しバルコニー手すりの壁下端部(オーバーハング)、屋根の軒先、ケラバと呼ばれる切妻屋根の側面、棟違い部、壁当たり部など様々な場所で使われています。
いずれも上記1~3 のいずれかの機能が求められる場所であり、そのための部材が数多く存在します。
水切りは、部材の一端を外壁材の下に差し込み、他の端を外部に出るように設置することで、外壁や屋根の裏面などに侵入した雨水を外部へ排出させます。
このように水切りの多くは外壁材や屋根材を解体しないと交換できない部材となるため、長期にわたる耐久性が求められます。
その素材としてガルバリウム鋼板が多く用いられますが、異種金属との接触による電食や、銅系の防腐防蟻剤あるいはモルタルなどのアルカリや酸による化学反応によって劣化する恐れがあるので、使い方や場所の選定が難しいところです。
下の屋根と上階の壁との接合部を納める板金部材のことを「雨押さえ」と呼びます。
上階の壁表面やその裏面を流れてくる水を内部に侵入させずに外部に排出させることが目的です。
こちらも水切りとしての機能が求められる部分ですが、同時に下屋の小屋裏換気機能をもたせた「換気雨押さえ」と呼ばれる部材も広く用いられるようになっています。
スレート屋根やフラット形の瓦屋根等の軒先に、屋根の構造用合板面への雨水侵入を防止するために設置される板金部材のことを「軒先水切り」と呼びます。
上端部は屋根の構造用合板の先端に固定してその上に屋根材を葺きます。
スレートやフラット 形の瓦の場合は金属板屋根のように毛細現象を起こす心配がないので、アスファルトルーフィングなどの防水材を水切りの上にかぶせるて万が一スレートやフラット形の瓦の隙間から雨が入っても構造用合板を濡らさないようにしています。
屋根勾配によって雨が流れる角度が違うため、排出する水を効率的に雨樋へ入れるためにも適切な角度のものを用いることが重要です。
雨樋に入らない雨水は外壁に当たって壁をつたう雨水を増大させてしまい、雨漏れを起こしかねません。
金属板屋根の先端をつかみこむための固定金具と水切りの機能を兼ね備えた板金部材のことを「唐草」と呼びます。
軒先先端でつかんだ部分を折り返す形状のものが用いられるようになっています。
こうすることで、金属板屋根の軒先先端部が唐草で固定されると同時に、つかんだ部分で雨水を切ることができます。
ただし、このつかみこんで固定することで唐草と金属屋根の間に狭い隙間が生じ、水が吸われる毛細管現象を引き起こすことがあります。
ルーフィングなどの防水材を唐草の上に施工することが多いのですが、毛細管現象で上がってきた水が防止材の下面に到達し、そのまま屋根の構造用合板を濡らしてしまう可能性もあります。
防水材の敷き方に注意が必要です。
ちなみに、毛細管現象を防ぐ専用の唐草も販売されています。
ケラバ部分(上記に説明があるのでそちらを参照)で、屋根葺き材の端を差し込んで納める板金役物を「ケラバ水切り(けらば包み)」と呼びます。
屋根材表面の水が水切りと屋根材の隙間から入り込む形になっています。
入り込んだ雨水は屋根材の下面に差し込まれた捨て水切り部分で軒先へ排出します。
ケラバ水切りの注意点は、捨て水切りと屋根材の隙間が雨水に含まれる埃などで少しずつ目詰まりを起こし、長期的には水が横方向にオーバーフローしてしまうことです。
オーバーフローした水は屋根材緊結釘の貫通部を通じて防水材の裏側にある屋根合板に達し、劣化させてしまいます。
対策としては、通気下地屋根構法を採用しり、屋根材に通気リブがあると防水材との間が通気層になり、雨水が入っても時間がたてば乾燥します。
屋根の棟という一番高い場所において、雨水浸入防止のため、屋根ふき材の接合部にかぶせる板金部材のことを「棟包み」と呼びます。
瓦屋根の場合は棟専用の瓦があり、アスファルトシングル葺きという屋根材なら棟部をまたがせて貼る場合もあります。
スレートや金属屋根の場合には棟包みを用いるのが基本になります。
棟部で屋根材同士にまたがって設置される棟包みですが、その固定には木材が用いられます。
木材は屋根材を貫通して屋根の構造用合板などに固定し、その木材に棟包みを固定する方法が一般的です。
雨水の浸透などによって木材が腐朽することで釘の固定力が低下し、棟包みが屋根から剥がれてしまうケースがあります。
特に勾配のある寄棟屋根の隅棟の被害が大きいようです。
この対策としてスレート屋根の場合、スレート一段毎に差し込んで釘固定する「差し棟」という構法があります。
木材が必要な部分でも、腐朽の恐れが低い樹脂製や金属製が使用する場合があります。
屋根の棟という一番高い場所に設置される、小屋裏空間の換気を目的としながら一定の防雨性能を備えた部材のことを「棟換気」と呼びます。
屋根材や屋根勾配、小屋裏空間の天井面積に応じて構造・サイズの棟換気を適切に選ぶ必要があります。
一般的には棟の一番高い部分に設置することが多いのですが、方形屋根や寄棟屋根など棟がないか、短い屋根形状でも方形冠換気部材や隅棟に設置する棟換気部材があるのでそこから換気が可能となります。
ただし、換気量は少ない場合が多いです。
スレート・金属・アスファルトシングルを葺いた屋根には金属系の換気棟部材を使うことが一般的ですが、瓦屋根の場合には野地板に開口をあけて瓦との隙間から換気を行う方法もあります。
棟換気を設ける際には、住宅金融支援機構の「木造住宅工事仕様書」に書いてある最低基準を満たすように棟換気の数やサイズを決めます。
例えば棟換気を排気、軒先を給気として換気部材を選択する場合には、排気側となる換気棟の開口面積の合計が、対象となる小屋裏天井面積の1/1600 以上となるように換気棟の数とサイズを選択します。
ちなみに給気と排気の位置や場所、使う部材によって開口面積が異なるので注意が必要です。
詳しくは、住宅金融支援機構の「木造住宅工事仕様書」に書いてあります。
その他に棟換気を適切に機能させるためには、通気経路をしっかり確保する必要があります。
小屋裏全体をまんべんなく換気させるためには空気の入口・経路・出口を連続させなければなりません。
垂木などその経路を妨げる障害となる可能性があるものがある場合には、通気経路をふさがないような配慮が必要です。
小屋裏換気は建築基準法で義務付けられているわけではありませんが、住宅の耐久性や快適な住環境を維持するためには今や必須のものです。
しかし、棟換気が取付けられる場所は屋根の一番高い棟、つまり激しい風雨が直接当たる場所になります。
よって、換気性能だけでなく防雨性能も必要になります。
風速や降水量で示される一定の防雨性能を持った棟換気があります。
立地条件や屋根形状などを考慮し、換気性能と防雨性能のバランスをとることが大切になります。
いずれにしても設計者や施工者が正しく理解していないと、住宅の耐久性や快適な住環境を維持することができないので十分に注意してください。
ワダハウジング和田製材株式会社
・一級建築士
・一級建築施工管理技士
・一般社団法人みんなの住宅研究所会員(会員番号:200019)
纐纈和正
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